2015年3月3日火曜日

郡山測定レポート(6)

◆通学路にあるホットスポット

2014年11月30日、郡山市に住むHさん(6歳のお子さんのお母さん)から、「来年入学する通学路を測定してほしい」と連絡がありました。

学校から自宅まで、徒歩で20分、一緒に歩いて測定をしました。
アスファルトの上では0.2μSv/h~0.3μSv/hなのですが、ホットスポットは点在していて、土の部分では、2倍~数倍の数値になります。

「土の部分はできるだけ歩かないようにしたほうがいいですね」

「この植え込みはほかのところよりも高いですね」

とひとつひとつ確認しながら歩きました。

たとえば、この植え込み。同じ植え込みが数メートル間隔で並んでいるのにも関わらず、ある一か所の植え込みだけが、1.5μSv/h(センサーの高さ地表10cm)を超えるのです。

子どもの通学路。手前の植え込みだけ、1.5μSv/hを超える



通学路にあるホットスポット


この日、もっとも高い数値だったのは、あさか野バイパス沿いにある植え込みでした。
地表5cmで、8μSv/h近い数値を出しました。

郡山市内を測定していても、これほど高いところは稀です


1mの高さでも、2μSv/hを超えていました。

1mの高さでも、2μSv/hを超えた


場所は、坂道の沿道の下った場所。水の流れに沿って、放射性物質がたまってしまったのかもしれません。

オレンジ色のポール部分がホットスポット。当然ですが、みただけではわかりません。


「雪かきをした雪も、そのあたりにあったように思うから、それで高いのかな・・・」

と、Hさんは話します。


◆郡山市の道路除染課に通報する

あまりにも高いので、翌日、郡山市の道路除染課に電話で相談をしました。
窓口の方は、丁寧に対応してくださり、

「その場所が市の管轄か、国の管轄かわからないので調べてみます」

とのことでした。

数日後に、メールがありました。

「国道担当と話をしましたが、現在のところ除染および、『危険です』というような看板の設置はできません」

とのことでした。


◆「除染できない」「看板の設置はできない」


その10日前の11月20日にも、ホットスポットを見つけていました。
その時にも、電話で福島県に相談をしたのですが、同じような対応をされていました。

同じ郡山市にある逢瀬川沿いの歩道で、地表5cmの高さで3μSv/hを超えるホットスポットが見つかっていたのです。

地表5cmで、3μSv/h



マラソンをする人、自転車で通行する人、犬の散歩をする人もいる遊歩道です。公園も近くにあります。測定中にも、散歩をする人が何人か通り過ぎていきました。

ホットスポットを除染をするか、あるいは「ここは放射線量が高い」ということを示す看板をたててほしい、と、その場所の管轄である福島県に依頼しました。

河川敷の遊歩道 この一帯は地表20cmで、0.7~1μSv/hありました。


しかし、県の担当者からは、

「現在、河川の除染の実証実験を行っているところなので、除染はできません」

「危険です、という看板をたてる、という対応をしたことがないので、できません」

「もし除染をしたいのならば、ご自分でやってくださってもいいですよ」

と、言われたのです。


近くには、仮設住宅もあるところ。木製のベンチには、避難されているお年寄りが座っている風景を、よく見かける、と、一緒に測定した郡山市のNさん。

そのベンチの測定値も、0.5μSv/hを超えていました。

センサーをベンチの上に置くと、0.5μSv/hを超えていました


◆Hさんの通報を受けて――

8μSv/h近い放射線量のあったあさか野バイパスの沿道。
一緒に測定をしたHさんは、あきらめずに、国土交通省にも電話をしていました。

その結果、2015年2月、このような状態になっています。

通報を受けて、対応されたホットスポット

「本当は、ちゃんと『放射線量の高い場所です』と周知してもらいたかったんですけれどね・・・でも、何もしないよりは良かったです」

と、Hさんは話します。

Hさんは、その後日、測定したマップを持って、お子さんと一緒に確認をしながら、通学路を歩いたそうです。

子どもたちが毎日歩く通学路のホットスポットは、できるだけなくしてほしいものです。
雪の季節が終わり次第、また、子どもたちの通学路の測定に伺う予定です。


(文責・吉田千亜)