「ホットスポットファインダー(放射線量測定器)」で地域の保護者と一緒に放射線量の測定を行いはじめてから、今年で6年目。事故から7年が経過した今なお、ホットスポットが確認されています。今回は、2017年4月に行った郡山市日和田地区と、2017年5月に行った二本松市東和地区の、通学路測定の様子をレポートします。
◆郡山市日和田地区
のどかな田園風景の広がる郡山市日和田地区。二年前に日和田小学校の測定を行った同じコースを、改めて測定しました。測定を依頼されたのはHさん。近隣の保護者と測定結果を共有し、学校にかけあって、保護者が協力し合いながら、今なお、生徒の通学時の送迎を続けています。今回は、「今年度も送迎を続けさせてほしい」という要望を学校に届けるための測定です。
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地表近くでは、今なお、毎時1マイクロシーベルトを超える場所が点在している |
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道路と、畑のあぜ道部分では、数倍の差がある
また、高さ(地表1mと地表ぎりぎり)でも数倍の差が出る |
道路除染の効果か、二年前より周辺の空間線量は下がってきてはいるものの、ホットスポットは今なお点在していました。特に、畑のあぜ道や、吹き溜まりには放射線量の高い場所が散見されます。子どもたちは、学校帰りにこういった場所で寄り道をすることもあるでしょう。Hさんはこの測定結果をもとに、「この結果ではまだ子どもたちを歩かせることに不安がある。学校と交渉します」と話していました。
◆二本松市東和地区
震災当時0歳だった保護者が、小学校入学を期に「通学路を測定したい」と測定の依頼があり、二本松市東和地区に伺いました。昨年まで子どもたちが通っていたという「子ども園」の近くの土手でも、「毎時0.5マイクロシーベルトを超えて、土壌汚染は5000ベクレル/キログラムを超えていた場所があったんです」とAさん。子どもたちが喜んで遊ぶような丘になっています。「二本松はとってもいいところでしょう。『思いっきり遊んでおいで』と言える豊かな自然があったのに、今は『あれは触っちゃダメ、これはやってはダメ』って言わなくてはならないのがつらくてね――」
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みんな小学1年生の子どもを持つ保護者 |
測定し始めた大きな道路では、放射線量が毎時0.1~0.2マイクロシーベルトだったのが、山を切り開いて作られた道路に入った途端に、毎時0.4~0.5マイクロシーベルト(地表50cm)に上昇しました。道の両サイドにある斜面からの放射線量のようです。
中学校の校門付近での測定では、地表近くで毎時2マイクロシーベルトを超える場所がありました。局所的ではあるものの、本来、子どもの生活圏にあってはならない汚染です。
小学校の駐車場では、地表近くで毎時4マイクロシーベルトを超えるところまでありました。同行した保護者Bさんは「この辺りは、保護者が草むしりをする場所。こんなところ、素手で、例えば妊婦さんが…なんて考えたら。絶対にやらせてはいけないですね」と話していました。
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東和中学校の校門前の地表近くで毎時2マイクロシーベルト。 |
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東和小学校の駐車場の地表近くで毎時4マイクロシーベルト。 |
運動競技場では、ゴムチップウレタン舗装(弾性のあるマラソンコース)に、放射性物質がしみ込んだままになっているのか、その上だけが毎時0.6~0.7マイクロシーベルト(地表50cm)という数値になりました。周辺の数値の、2~5賠ほどの数値です。
この日に測定した保護者のみなさんは「結果を持って、市や学校に相談したい」「今度は自宅周辺なども測定したい」と話してくれました。
放射性物質の半減期や、除染で「放射線量は下がった」と言われがちですが、ホットスポットは今なお点在しています。今後も、通学路測定を続けていく予定です。
(文責:吉田千亜)